「自社AIを持つ」は難しくない。IT担当がいなくても始められるローカルLLM導入の手順

06.03.2026

編集者C

「自社AIを持つ」は難しくない。IT担当がいなくても始められるローカルLLM導入の手順

ローカルLLMとは、「自社のPC内だけで動くAI」のことです

ChatGPTやCopilotは、インターネット経由でアメリカのサーバーにアクセスして回答を返しています。入力した内容はすべて外部に送られる仕組みです。ローカルLLMはこれと真逆の発想で、AIそのものを自社のPC内にインストールして動かします。インターネットに繋がなくても動き、入力した内容が外に出ることはありません。

「AIを自社で持つ」と聞くと大掛かりに聞こえますが、実態はソフトをインストールしてモデルをダウンロードするだけです。手順を知れば、PC操作に慣れた担当者であれば半日で動かせます。

クラウドAIとローカルLLMの違いを整理する

  • クラウドAI(ChatGPT等):インターネット必須、入力内容が外部サーバーへ送信される、月額費用がかかる
  • ローカルLLM:インターネット不要、入力内容が社外に出ない、モデル自体は無料で使えるものが多い
  • 性能面ではクラウドAIが上回る部分もありますが、社内文書の要約・メール文章作成・Q&A対応といった日常業務には十分対応できます

まず確認すること。使えるPCかどうかの判断基準はここだけ見れば十分です

ローカルLLMを動かすには、PCのスペックがある程度必要です。ただし、「どんなPCでも無理」ではありません。確認すべき項目は2つだけです。

動作確認の2つのポイント

  • メモリ(RAM)が16GB以上あるか:8GBでも軽量モデルなら動きますが、実用的な回答速度を出すには16GB以上が目安です
  • ストレージの空き容量が20GB以上あるか:AIモデルのファイルサイズは用途によって4GB〜15GB程度です

GPU(グラフィックボード)があれば処理が速くなりますが、なくても動きます。最初はGPUなしの環境で試して、速度が足りなければ後から検討するのが現実的な順番です。

確認方法(Windows):「設定」→「システム」→「バージョン情報」でRAMが表示されます。ストレージはエクスプローラーのドライブを右クリック→「プロパティ」で空き容量を確認できます。

インストールは3ステップ。コマンド2行で動かせます

今回使うのは「Ollama」というツールです。世界中の開発者が使っているローカルLLMの実行環境で、無料で使えます。難しい設定は不要で、インストーラーをダウンロードして実行するだけです。

STEP 1:Ollamaをダウンロードしてインストールする

公式サイト(https://ollama.com/)を開き、「Download」ボタンからインストーラーを取得します。Windows・Mac両対応です。ダウンロードしたファイルをダブルクリックして、画面の指示通りに進めるだけです。

STEP 2:AIモデルをダウンロードする

インストール完了後、「コマンドプロンプト」(Windowsキー+R→「cmd」と入力してEnter)を開き、以下を貼り付けてEnterを押します。日本語対応で軽量なモデルをダウンロードできます。完了まで5〜15分かかります。

ollama pull llama3.2

STEP 3:AIと会話してみる

ダウンロードが終わったら、同じコマンドプロンプトで以下を実行します。「>>>」が表示されたら、日本語でそのまま話しかけてください。これだけでAIが動いています。

ollama run llama3.2

最初につまずきやすいポイント

  • 回答が遅い:GPUなし環境では1文の生成に数秒かかることがあります。軽量モデル(3B・7Bパラメータのもの)を選ぶと改善します
  • 日本語が途切れる:モデルによって日本語の精度に差があります。「qwen2.5:7b」は日本語対応の精度が高く、最初の1本としておすすめです
  • コマンドプロンプトが怖い:画面に何も起きないように見えても、内部でダウンロードが進んでいます。数分待てば進捗が表示されます

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動かした後にやること。「使える状態」にするための3つの整備

コマンドラインで動かせた段階は、あくまでスタートです。社員が実際に業務で使えるようにするには、もう少し整備が必要です。ただし、どれも難しい作業ではありません。

社内で「使える」にするための整備ポイント

  • 画面UIをつける:コマンドラインのままでは社員が使いにくいです。「Open WebUI」という無料ツールを追加でインストールすると、ChatGPTに似た画面インターフェースで使えるようになります
  • 使用ルールを1枚で決める:何を聞いてよくて何はダメか、口頭だけでなく紙1枚で共有しておくと混乱が減ります
  • 試用期間を設ける:いきなり全社展開せず、1〜2名で2週間試してから広げる順番が、トラブルを減らす現実的な進め方です

ある会社では最初に全員へ一斉展開しようとして、「使い方がわからない」という問い合わせが殺到して一度止まりました。結局、担当者1人が1ヶ月試して問題点を洗い出してから再展開したら、スムーズに定着しています。急がない方が、結果的に早く広がります。

今日試せる。まず1時間だけ使ってみることが、一番の近道です

「うちには難しい」と感じている会社のほとんどが、試す前にそう思っています。実際に動かしてみると、感想はほぼ共通しています。「思ったより簡単だった」「もっと早くやればよかった」です。

今日できる最初の一歩は、OllamaをPCに入れてコマンドを1行打つことです。費用はゼロ、所要時間は30分以内、リスクもありません。それだけで、自社のPC内でAIが動く状態になります。

「便利なクラウドAI」を外で使い続けるか、「自社の中で動くAI」を持つか、その差は技術の話ではなく、一歩踏み出すかどうかの話です。

あなたの会社のPCに、今日からAIを住まわせることができます。最初の1行を打つ人間が、社内で一番先を行く人間になります。